創業は明治8年(1875年)。瀬戸内海の、旧山陽道に面した小さな酒蔵です。杜氏のこだわりは、「美しい酒をつくる」こと。また、「心をこめてお酒をつくれば、世界中の人に気持ちが伝わる」と、お客さまにお酒をおいしく飲んでいただけるよう、日々蔵人一同、魂をこめてお酒を醸しています。
若き杜氏以下蔵人6名でお酒をつくっています。伝統を大切にしつつ、新しい試みにも挑戦しています。山口県産にこだわり、米、水、芋、梅など、山口県の農家が大切に育てた原料を使用し、心をこめて酒造りをしています。
お米へのこだわり
山田錦・西都の雫など、山口県産米にこだわっています。中でも、「防長鶴(青)純米吟醸無濾過原酒」「防長鶴(青)純米吟醸」は、山口県周南市八代盆地の、つるが飛来する田んぼで、つると環境にやさしいお米づくりをしている「つるの里ファーム」の契約栽培米である山田錦を100%使用してつくっています。
蒸米
きんと冷える冬の朝早くから、蒸し器でお米を蒸します。この蒸し器で、400㎏~500㎏のお米を蒸します。蒸米がある朝は、蔵から外にお米を蒸すいい香りがします。
1日目
酒母(しゅぼ)
麹、仕込み水、蒸米をまぜて、酵母を加えて培養します。お酒の母と書いてあるとおり、そのあとに続く醪(もろみ)造りの基本です。
発酵している醪
しぼり
圧搾機で醪をしぼって、お酒と酒粕に分けます。鑑評会出品酒などは、「袋吊り」「斗瓶採り」「斗瓶囲い」と呼ばれる、醪が入った酒袋をつるし、ゆっくりと自然にしたたりおちる雫をタンクでうける方法でしぼります。お酒の種類によって、そのあと濾過や火入れをして、お酒ができあがります。新酒ができると、杉玉をかけてお酒ができたことをお知らせします。
洗米・浸漬
玄米から削って精米された白米を、お米の表面に残っている糠を取り除くために水でよく洗います。洗った白米を水に浸しますが、お酒の種類や精米歩合によって浸漬時間をかえます。大吟醸のつくりでは、お酒の出来に大きく影響する麹のお米は手洗いをしています。精米歩合が高いお米の洗米は、お米があっというまに水分を吸うので、分単位、秒単位で管理しています。
麹
蒸したお米を冷ましたあと、室という厳しく温度と湿度を管理された部屋にいれて、麹菌をつけ、2昼夜で麹をつくります。麹をつくっているときは、夜何度も温度などの確認や、手仕事をします。山縣本店では、麹をすべて手づくりしています。
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2日目
麹の手仕事
醪(もろみ)
酒母、麹、蒸米、仕込み水を専用のタンクにいれて発酵させたものです。糖化と発酵が同時に行われる、並行複発酵がこのタンクの中で行われます。一度で大量に仕込みをすると醪の濃度が高くなりすぎて発酵がうまくいかないことがあるため、三段仕込みという方法で仕込みます。
1回目を「初添え(はつぞえ)」
2回目を「仲添え(なかぞえ)」
3回目を「留添え(とめぞえ)」
と呼び、1回目と2回目の間に1日「踊り」とよばれる、仕込みを休む日をもうけて、酵母をふやして2回目と3回目の仕込みに備えます。20~30日発酵させて、醪をつくります。
毎朝の櫂入れ
酒造が終わって暖かくなると、米焼酎の仕込みにかかります。
初夏には収穫したての梅の実が入ってきます。梅を洗うときに梅の香りがたちのぼります。この梅を、じっくり熟成させた米焼酎に漬け込みます。山縣本店の梅酒が「シンプルな味でこくがある」といわれるのは、このこだわりのおかげかもしれません。
秋には、堀りたてのさつまいもが入ってきます。さつまいもを蒸して、濃醇な芋焼酎を造ります。一年を通じて山縣本店には心惹かれる香りがあふれています。